「住所・氏名変更登記の義務化」~放置するリスクと便利な新制度~
2026年8月8日更新
今年(2026年)4月1日から、「住所・氏名変更登記の義務化」がスタートしたのをご存知でしょうか。2024年に始まった「相続登記の義務化」に続き、不動産をお持ちのすべての方に関わる重要なルール変更です。今回は、新制度の概要と放置するリスク、そして負担を減らすために新設された便利な制度について分かりやすく解説します。
■ なぜ義務化されたのか?
これまで、引っ越しや結婚などで住所や氏名が変わっても、不動産登記簿の情報を書き換える手続きは任意でした。そのため、登記簿を見ても現在の所有者がどこにいるのか分からない「所有者不明土地」が全国で増加し、社会問題となっていました。
この問題を解消し、不動産取引の安全を守るため、法律が改正されて義務化に至りました。
■ 義務化のルールと期限
不動産の所有者は、住所や氏名に変更があった日から「2年以内」に変更登記を申請しなければなりません。
特にご注意いただきたいのが、「2026年4月1日より前に引っ越し等をした場合」も対象になるという点です。過去の住所変更については、制度がスタートした2026年4月1日から2年以内、つまり【2028年(令和10年)3月31日まで】に手続きを済ませる必要があります。
■ 手続きを放置する2つのリスク
住所変更登記をせずに放置していると、次のようなデメリットが生じる可能性があります。
リスク1:5万円以下の過料(ペナルティ)の対象になる
正当な理由がないのに期限(2年以内)を過ぎても手続きを行わない場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。
リスク2:手続きに必要な証明書類が取得できなくなる
住所変更登記には、登記簿上の過去の住所から現在の住所までの繋がりを証明する公的書類(住民票の除票や戸籍の附票など)が必要です。
しかし、過去の古い引っ越しについては役所での保存期間が経過し、破棄されているケースが少なくありません。公的な証明書が取得できない場合、権利証など追加の書類をいくつも手配しなければならず、手続きにかかる手間や費用が大幅に増えてしまいます。
■ 自動で更新してくれる「スマート変更登記」とは?
「引っ越しのたびに登記をするのは大変」という方のために導入されたのが、「スマート変更登記(職権による住所等変更登記)」という新制度です。
この制度は、あらかじめ法務局へ生年月日などの「検索用情報」を申し出ておくことで利用できます。引っ越しなどで住所が変わった際、法務局が「住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)」等を利用して自動で変更を把握し、本人確認の上で、法務局側(職権)で登記簿を更新してくれます。
自分で申請する手間や登録免許税といった費用も抑えられるため、頻繁に引っ越しをされる方や手続きの忘れが心配な方にとって非常に便利な仕組みです。
■ おわりに
義務化に伴い放置するリスクが生じる一方、「スマート変更登記」のように所有者の負担を減らす仕組みも整えられています。過去に引っ越しをしてから登記がそのままになっている方は、お気軽にご相談ください。