法務局で保管する遺言書「自筆証書遺言書保管制度」
2026年6月22日更新
「遺言書を書いてみたいけれど、どこに保管すればいいのだろう?」
終活への関心が高まる中、このようなご相談をいただくことが増えました。
ご自宅の金庫や仏壇での保管は、紛失や一部の相続人による隠匿・改ざんのリスクが伴います。そこで今回は、これらの不安を解消する「自筆証書遺言書保管制度」について解説いたします。
法務局の保管制度、3つのメリット
2020年にスタートしたこの制度は、ご自身で書いた遺言書(自筆証書遺言)を、法務局が安全に預かってくれる仕組みです。主に次のようなメリットがあります。
- 家庭裁判所での「検認」が不要になる
通常、自宅で見つかった自筆証書遺言は、開封前に家庭裁判所で「検認(けんにん)」という手続を経る必要があり、これに数週間から数ヶ月かかります。法務局で保管された遺言書は検認が免除されるため、ご家族はすぐに不動産の名義変更や預貯金の解約手続に進むことができます。 - 紛失・改ざんの恐れがない
原本と画像データが法務局で厳重に管理されるため、紛失や第三者による偽造・破棄の心配が一切ありません。「遺言書を誰かに見つけられて書き換えられるのではないか」という不安からも解放されます。 - 「指定者通知」で相続人などに存在を知らせる
有効な遺言書を法務局に預けても、ご家族がその存在を知らなければ遺言は実行されません。そこで役立つのが「指定者通知(死亡時の通知)」というサービスです。
これは、遺言者が亡くなった際、法務局が市区町村の戸籍担当部局と連携して死亡の事実を確認し、あらかじめ指定された方(相続人や遺言執行者など最大3名)へ「遺言書が保管されていること」を自動的に郵送で知らせる仕組みです。
これにより「家族が遺言書に気付かず遺産分割を終えてしまった」というトラブルを未然に防ぎ、ご自身の想いを指定した相手へ確実に届けることができます。
利用する際の注意点
法務局の保管制度は非常に便利ですが、預ける遺言書は「全文自書」「日付・署名・押印」「決められた余白の確保」など、法律および法務局が定める厳格な形式ルールを満たしている必要があります。
また、法務局の職員は形式的なチェックは行いますが、遺言内容が法的に有効か、後々トラブルにならないかといった「中身」の相談には応じてくれません。内容に不備があると、せっかくの遺言が無効になってしまうケースもあるため注意が必要です。