ひまわりコラム

養育費の不払い解消への新しい一手

Q 数年前に離婚し、子供の養育費を月々支払う約束を交わしました。しかし相手が職場を転々として行方が追えなくなり、現在は一円も支払われていません。裁判所の手続はハードルが高いイメージですが、最近の改正で、相手の職場を特定したり、公証役場へ行かずに作った書面でも強制執行ができたりすると聞きました。詳しく教えてください。

A せっかく交わしたお約束が守られず、相手の行方も分からない状況、さぞご不安なこととお察しします。
結論から申し上げますと、近年の法改正(民法および民事執行法等の改正)により、養育費回収のハードルを大きく下げる新しい制度が整備されました。
現在検討できる具体的な解決策を3つのポイントで解説します。

  1. 私製の「合意書」でも差し押さえが可能に(養育費の先取特権)
    これまで相手の給与などを差し押さえるには、裁判所の確定判決や、公証役場で作成した「公正証書」が必要でした。しかし改正により、当事者間だけで交わした合意書(私文書)であっても、一定の要件を満たせば「養育費の先取特権」が認められ、裁判所に差し押さえを申し立てられるようになりました。
  2. 合意書をもとに「今の職場」を特定する(情報取得手続)
    給与の差し押さえには現在の勤務先情報が必要ですが、相手が転職して不明な場合、裁判所を通じて市区町村や日本年金機構などから勤務先(給与支払者)の情報を開示させる制度があります。以前はこの制度の利用にも公正証書等が必要でしたが、改正により、上記の「合意書」による先取特権を根拠として、今の職場を特定できるようになりました。
  3. 合意書がない場合でも「法定養育費」
    明確な取り決めや書面がないケースでも、改正法により「法定養育費」の制度が創設されました。具体的な合意がなくても、法律上当然に一定額の養育費請求権が認められ、これを根拠に先取特権を行使できる仕組みが整えられました。

まずは、お手元にある書面が改正法の要件を満たしているかご確認ください。

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