公正証書の作成手続きがデジタル化へ
2025年10月22日更新
令和7年10月1日から、公正証書の作成手続きが順次デジタル化されます。「公正証書」は、契約書、公正証書遺言、合意書、債務承認、公正証書契約など各種法律文書を公証人の関与で作成する制度ですが、これまではすべて紙媒体・対面手続きが前提でした。デジタル化制度の導入により、次のような変更が生じます。
インターネットによる嘱託が可能に
従前からの嘱託方式は「公証役場に来所して、印鑑証明書等の書面により本人確認」が必要でしたが「電子データに電子署名、電子証明書を付し、インターネットからメールで送信して、電子的に本人確認(来所不要)」となります。
ウェブ会議の利用が可能に
従前からの作成方法は「公証役場等で公証人と対面して作成する方法」が取られていましたが、「公証役場の外からウェブ会議に参加して作成する方式」も可能になります。
電子データでの作成が原則に
公正証書は、原則電子データで作成・保存します。嘱託人は電子サイン(電子ペンでディスプレイ等に手書きするもの)のみとなり、押印不要となります。
公正証書の受取方法は、以下の3つから選べます。
- 電子データを出力した書面を受け取る
- インターネットからメールを受信して受け取る
- 自前のUSBメモリ等を使ってデータで受け取る
メリット
- 公証役場への移動や出張対応の負担が軽減され、遠隔地在住者や高齢者も利便性が向上することが想定されます。
- 作成・保管が電子データ化されるため、改ざん・紛失リスクが低減されます。
留意点
- リモート方式を利用するには、端末・ネット環境・電子署名対応機器などの準備が必要です。
- 全ての公証役場で最初から対応があるわけではなく、指定公証人役場から順次導入される方式とされています。
まとめ
「デジタル公正証書」制度は、従来の公正証書制度を現代のデジタル時代に即した形に進化させるものです。特に、遺言書作成や契約書作成において、物理的な制約を受けていた方にとって利便性が大きく向上する改正です。
運用開始後は新制度・旧制度の併存や対応役場の範囲、実際の操作感・手続き要件などの過渡期の問題点が発生することも予想されます。制度を使おうとお考えの方は、改正法や省令の最終決定内容をしっかり確認したうえで、専門家(司法書士、公証人、弁護士など)と相談しながら進めることをお勧めします。