新しい制度 法定養育費とは
2025年9月17日更新
Q 離婚後の養育費に関して、新しい制度ができるようですが、どのようなものでしょうか?
A 2024年5月に成立した民法改正により、新たに「法定養育費制度」が導入されることとなりました。施行は公布から2年以内、遅くとも2026年5月までに始まる予定です。この制度は、離婚時に養育費の取り決めがなかった場合でも、法律に基づく最低限の養育費を請求できる仕組みを整えるものです。
制度創設の背景
わが国では、離婚後に養育費の支払いが継続されている割合は、母子世帯で約2割、父子世帯ではさらに低いといわれています。多くのケースで「取り決めがない」「請求しても支払われない」ことが原因で、ひとり親家庭の経済的困難を招いていました。こうした状況を改善し、子どもの生活を保障する目的で本制度が導入されました。
法定養育費の金額と性質
法定養育費の額は、子ども一人あたり「最低限度の生活を維持するための標準的費用」を基準に、法務省令で定められます。報道では月額2万円程度の案が示されていますが、最終的な金額は今後の省令で確定します。重要なのは、これは「最低限の保障」であり、教育費や医療費など個別事情を反映するには、別途協議や裁判所の関与が必要となる点です。
支払い期間と手続き
法定養育費は離婚成立の日から発生し、①両親が新たに養育費を取り決めた日、②家庭裁判所の審判が確定した日、③子が成年(18歳)に達した日のいずれか早い時点で終了します。あくまで暫定的措置として位置づけられ、将来的には具体的な事情に応じた調整が求められます。
改正法では、養育費債権に「一般先取特権」が与えられました。これにより、支払いが滞った場合でも、家庭裁判所の審判を待たずに他の債権者より優先して財産を差し押さえることができ、従来の「請求しても回収できない」という問題の改善が期待されます。
今後の課題
ただし課題も残されています。第一に、最低限度の金額では子どもの成長に伴う費用を十分にカバーできない可能性があること。第二に、支払義務者が経済的に困窮している場合には免除や減額が認められる可能性があり、必ずしも確実な支払いが担保されるわけではないことです。さらに、制度を利用するための周知や申請手続きの簡素化、専門家による支援体制の充実も不可欠です。
法定養育費制度は、養育費ゼロの状態を防ぐための大きな一歩です。しかし、実効性を高めるには、離婚時の取り決めを重視し、家庭裁判所や自治体、専門家のサポートを組み合わせて、子どもにとって最善の養育環境を整えることが求められます。