成年後見の2つの仕組み 「法定後見」と「任意後見」の違い
2025年6月20日更新
高齢化や認知症の増加により、判断能力が低下した方の財産管理を支援する制度として「成年後見制度」の重要性が高まっています。金融機関の窓口でも、「後見人がついた」という話を耳にすることがあるかと思いますが、この制度には実は2つの種類があることをご存じでしょうか。それが「法定後見」と「任意後見」です。
それぞれの違いを理解しておくことは、取引時の対応や顧客支援のうえで非常に重要です。
法定後見とは
法定後見は、すでに判断能力が不十分になった方に対し、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。申立ては家族などが行い、裁判所が審理のうえ後見人を決定します。
支援の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3段階に分かれており、支援内容や権限の範囲も異なります。
たとえば「後見」の場合、本人は契約や財産管理を自ら行うことができず、後見人が全面的に代わって手続きを行います。金融機関においては、後見人による預金の管理・解約・払戻しの際に、登記事項証明書の提示が必要となり、行為の種類によっては家庭裁判所の許可も求められます。
任意後見とは
一方、任意後見は、本人にまだ判断能力がある元気なうちに、「将来自分の判断能力が低下したときにこの人に任せたい」と契約を結んでおく制度です。契約は公正証書で行い、実際に判断能力が低下した段階で家庭裁判所に任意後見監督人を選任してもらい、後見が開始されます。
任意後見の最大の特徴は、本人の意思で内容や相手を決められるという点にあります。そのため、自分の希望に沿った柔軟な財産管理が期待でき、事前の相続対策や生活設計の一環として活用されることもあります。
成年後見制度は、種類によって開始時期も手続きも大きく異なります。顧客から「後見人がついた」と聞いた際には、どの種類かを確認し、その権限範囲を把握したうえで対応することが大切です。