令和6年10月から社長の住所が非公開に
2024年5月9日更新
Q 今年の10月から、代表取締役の住所を登記簿に載せないようにできると聞いたのですが?
現在は、会社の登記簿謄本には代表取締役等の住所が地番まで記載され、誰でも閲覧可能な状態です。
この情報は、法務局で取得できるほか、オンラインサービスでも入手できたため、代表取締役の自宅は比較的容易に特定できるのが現状です。
そこで、企業などの各団体から代表取締役のプライバシーを保護する必要があるという声が強まり、今年の10月から株式会社の代表取締役の住所について、登記申請時に申出をすることで、住所表記を一部非公開にすることができるようになります。
Q 具体的にはどのように表示されるのですか?
新制度では、登記簿上の代表者住所を市区町村までの表示に、以下のように制限できるようになります。
【既存制度】 東京都大田区東蒲田二丁目3番1号 代表取締役 甲野太郎
【新制度】 東京都大田区 代表取締役 甲野太郎
なお、住所非表示の手続きは、住所が登記されるタイミングと同時に申し出る必要があります。
上場企業か否かで提出書類は異なりますが、一定の証明資料の添付が必要となります。
Q プライバシー保護や、起業へのハードルが下がる、など賛成する意見があるようですが‥
代表取締役の住所非表示はメリットばかりではありません。法務省のサイトでは、住所非表示で予想される不利益として、下記のとおり赤字で強く注意喚起しています。
代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合には、登記事項証明書等によって会社代表者の住所を証明することができないこととなるため、金融機関から融資を受けるに当たって不都合が生じたり、不動産取引等に当たって必要な書類(会社の印鑑証明書等)が増えたりするなど、一定の支障が生じることが想定されます。そのため、代表取締役等住所非表示措置の申出をする前に、このような影響があり得ることについて、慎重かつ十分な御検討をお願いいたします。引用:法務省|代表取締役等住所非表示措置について
代表取締役住所非表示制度は、一見メリットがあるように思えますが、経営者や企業活動にとってデメリットが存在することを理解し、申出の前に慎重に検討することをお勧めします。