相続手続きがラクになる「法定相続情報証明制度」
2023年10月18日更新
Q 相談
父が亡くなり、私が相続人を代表して相続の事務手続きをしています。
相続財産として不動産と、複数の金融機関の預金があります。
相続手続きには、父が生まれてから亡くなるまでの戸籍や、相続人全員の戸籍が必要とのことで、あちこちの役所から苦労して取り寄せました。ただ、手続きのたびに、その戸籍の束を提出しなければならずとても大変です。もっと簡単に済む方法はないのでしょうか?
A 回答
このような場合のために、相続手続きのときに提出する戸籍の束が、書類1枚で済むようになるという「法定相続情報証明制度」というものがあります。
この制度が出来るまでは、一つの手続きが終わったら返却された戸籍の束を持って次の手続きに行くという方法か、お金はかかってもあらかじめ何部か戸籍を取っておいて、同時進行で手続きをしていくという方法しかありませんでした。そこで、相続手続きがより簡便に出来るようにと作られたのが、この制度です。
この制度のメリットは主に3つあります。
(1)膨大な戸籍謄本が1枚でよくなる
(2)書類を集める費用を抑えられる
相続手続きに必要な戸籍は、少なくても4、5通、多い人は10通以上になることもあります。何カ所かに戸籍を提出する場合、それぞれ何部ずつか取得すると、かなりの金額となってしまいますが、この制度では、各1部ずつ取得すれば足ります。
(3)スピーディーに相続手続きを進められる
複数枚「法定相続情報」を取得しておけば、複数の相続手続きを同時に進められます。また、提出された金融機関なども、戸籍をチェックする手間が省けますので、その分手続きもスムーズに進むと思われます。
法定相続情報は、次の3つのステップで取得できます。
①必要書類を集める。
お亡くなりになった方の、出生から死亡までの戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄抄本などが必要となります。
②法定相続情報一覧図を作成する。
一覧図とは、相続関係図のようなもので、法務局のサイトにフォーマットがあります。
③法務局へ申請する。
必要書類と②の一覧図を提出します(郵送でも可)。何通でも取得費用は掛かりません。 資料一式を集めて法務局で手続きする手間はありますが、その後の手続きがグンと楽になりますので、金融機関口座、証券口座、保険、不動産など、相続財産が複数ある方におすすめします。司法書士に依頼することも可能です。