相続放棄Q&A
2023年8月1日更新
令和6年4月からの「相続登記義務化」にともない、相続放棄を希望する方が多くなるのではないかと言われています。
Q 相続放棄とは?
相続放棄は、被相続人のすべての相続財産(プラスの財産とマイナスの財産の全部)を相続せずに最初から相続人ではなかったとみなされることです。
Q 相続放棄をしたほうがいい場合とは?
被相続人に多額の借金がある場合や、借金以外にも未払いの家賃や水道光熱費、電話代、通信料、滞納していた税金、損害賠償債務など、すべて相続しないので支払う必要がありません。
また、被相続人が誰かの連帯保証人になっていた場合も、連帯保証人の地位を引き継がなくて済みます。
他にも「他の相続人と関係が良くないので相続手続きに一切関わりたくない」といった希望で相続放棄をする場合もあります。
Q 注意点などはありますか?
相続放棄は、基本的に「相続開始を知ってから3カ月以内」に家庭裁判所に申述をしなければなりません。その期限を過ぎると、家庭裁判所で相続放棄の申述を受け付けてもらえなくなって、全部の資産・負債を相続せざるを得なくなるので注意しましょう。
また、相続財産の処分などをすると、相続した事を承認(単純承認)したとみなされて相続放棄ができません。
例えば、被相続人の預貯金を引き出して使ったり自分名義の口座へ移したりすることはもちろん「遺産分割協議に参加して合意」「債務者からの弁済を受け自分のために消費」「相続財産の株式で株主として議決権行使」などしていると相続放棄は認められなくなります。
他にも、「裁判所での相続放棄」と「遺産分割協議において事実上の放棄」と混同される場合があるので、注意が必要です。
「裁判所での相続放棄」をした場合には、相続人や相続分に変動が生じてきます。
夫が亡くなり、相続人が妻と子供である場合、妻のみに相続させる目的で子供が「裁判所での相続放棄」を行うと、妻のみが相続人になるのではなく、夫の親又は兄弟が相続人に繰り上がってきてしまいます。
こうなると、妻と夫の親又は兄弟で遺産に関する協議を行うことになり、まとめることが難しくなる可能性があります。
この場合は、妻のみが相続するという遺産分割協議を、妻と子供で行う方法をおすすめします。